12月12日 流し目のゆうの物語 ~魔女旅に出る

そうだ!

流し目のゆうちゃんがログレスに来る前の話をしようと思ったんだ^^

お暇な方はお付き合いください!

(最近、少し体調を崩し気味で、のーんびりと書き進めたものになります^^)



その道場・・・昔は名声を轟かせ、世界中から勇者になろうとするものが集まった。

勇は、その道場の長男坊。

跡継ぎの宿命を背負い、育てられた。


――勇、14歳

道場では打ち合いが行われていた。

気合の怒号が道場に響き、また、骨が砕かれたものの悲鳴が聞こえることも少なくない。

その日の勇の相手は、来年には20歳を迎え、ログレスへ旅たち、勇者として一旗をあげようという男だった。

その男は、間合いをつめるなりに木刀を勇に向かって振りかざす。

勇は、その刀をヒラリとかわすと、シュタと剣を男の首から方に向けて振りかざす。

目に見えぬほどのスピードを持った剣は、シュンという音ともに振り下ろされ、首の皮に触れた瞬間に戻される。

振り切れば致命傷、剣を戻した今の一太刀は蚊を殺す程度の衝撃を与えるのみだった。

その男は、二太刀、三太刀と勇に浴びせようとするが、すべてが同じ結果だった。


夜、勇は食事を父・兄弟と食べる。

父が問うてくる。

「勇よ、なぜ、おぬしは振りぬかん? あれでは、相手も浮かべれぬぞ」

何度も語ってきた話だ。


****

勇が、齢(よわい)6歳を迎えたころ、明日、勇者への旅立をしようという男の壮行会での話だ。

「うちの息子もなかなか強くてな」

勇の背中を押して、男にいったのは父だった。

「さすがは先生の息子さん」すでに酔いが回った男は、微笑むを浮かべたまま、ゆらりと立ち上がり「ならばお手合わせを。もちろん全力で」

やはり酔っている父は「勇、お願いしてみるか」

勇はうなづいて、一歩を踏み出した。

「うん」

会場を拍手が包んだ。

父も・・この会場にいる皆が知らなかったのだ。

勇の実力を。

普段、少し年上の学生同志との相手の打ち合いで、どれだけ手を抜いているのかを。


男の絶叫が会場に響いたのは、その数分後のことだった。


本気で振りぬいた勇の木刀は、男の腕を砕き、二の太刀は男の喉を激しく突いた。

男は・・・命はとりとめたが、二度と剣が握れない体になり、勇者の夢はついえたのだった。


その後、男は、勇を恨むことはなかった。どころか、自分の夢を勇に託したのだった。

「いつか、お前は勇者になる。誰よりも立派な」


勇は、静かに首を振った。

男の夢を砕いた代償は、センシティブな勇には深い傷となった。


それ以来、勇が剣を振りぬくことはない。

あましたエネルギーを文(ふみ)を嗜むことに費やした。


****


食卓で、何度も繰り返した話だった。

ただ、今日の父は違った。

将来の道場の跡取り息子だ・・・しかも、この腕前。

遠くない未来にログレスに送ろうと思っている。

山の頂上にいるアースグリフォンを倒せるような勇者になってくれれば――


「お前には強い勇者になってほしくて「勇」と名付けた、それを――」

今日の父の語気は激しく、思春期でセンシティブ、反抗期を迎える勇は、それに真っ向から逆らった。

あの日から「勇」という名前がイヤになった。

今では、自分で「優」を名乗る。

人を愛す、動物を愛す、植物を愛す。

誰もが認める優しい少年だった。

平和で穏やかな毎日の中で、頬に感じる風が好きだった。

「あなたの押しつけはいらない!こんな家、すぐに出て行ってやる!」


お前というやつは――、知らん!

勇は投げ言葉に売り言葉を、父の背中に投げつけた。


****


その夜、ベッドの上で眠りについた勇。

半分開きの窓から、先ほどまでとは違うぬるい風がはいりこみ、カーテンを揺らす。

枕元に一人の男の気配、勇は、すぐさま感づき、枕元に置いてある剣を手に取った。

「誰ぞ・・」

「ふっふ・・相変わらず元気だな。その構えなら、そのあたりの勇者など瞬間で倒してしまうだろう」

この声は・・・叔父さんだ。

その昔、火を扱いならし、氷の女王をいなすことに成功した町のマジシャンの第一人者だ。

「お父さんのご依頼でな。お前に魔法をかけてほしいと」

頬に浮かべた笑みが消える前に、叔父さんは手を天井にかざした。

ぼふっという音とともに、その手に火が浮かぶ。

「これから、お前に三つの魔法をかける」

「魔法?」

「一つ目の魔法は――」

叔父さんの手に浮いていた炎が勇を包んだ。

激しい熱の中で勇がうめく・・・・


勇を包んでいた炎が消えたのは数分後のことだった。

勇が激しく動悸する。

「おじさん!」勇は叫んだ。

「お前のお父さんからの願いだ。お前の体を女子のものとした。勇者にならぬものは男子の体はいらぬ、と。勇という名も奪った。明日からは苗字はなしだ。すきなように「優」となのるがいい」

「え・・・女の体?」勇は自分の胸を触る。「膨らみが・・・ある・・・・・股間が・・・・ない!」勇は叫んだ。「叔父さん!」

聞く間もなく叔父さんは叫ぶ。

「二つ目の魔法だ」

先ほどと同様に勇の体を炎が包む。

炎が消えると、叔父さんが言う。

「お前から剣のスキルを奪った。もはや、これまでのように剣を振るい、敵を倒すことはできない」

「そして、三つ目」

叔父さんの手から炎が投げられる。

迫りくる炎に勇は剣で応戦する。

炎が手を包み、体をも焼こうとする。

ゆうは必死に抵抗し、その力は拮抗を続けた。

「ゆうー!」叔父さんは最後の力をしぼり、一層大きな炎を放った。

「負けん!」

ゆうは耐えた。

耐えて、耐えて・・その攻撃を防いだ。


「やるな、ゆうよ」

「なんてことをっ!」ゆうは叫んだ。

「最後の魔法は、お前から男の心を奪い、女の心にしようとしたのだ。ただし、魔法は・・不完全だ――」

ごくりと、ゆうはつばを飲んだ。

「イヤか? 男の心を捨てるのは?」

「男は愛せない。素敵な女性と結ばれ、争いとは無縁の世界で生きるのが夢だ」

そこまで真剣な顔をしていた叔父さんの相好がゆっくりと崩れていく。部屋を包み込む沈黙を破るように、プッと吹き出し、やがて大声で笑った。

「何がおかしい!」ゆうが叫ぶ。

「はっはっは。それでいい」

「笑うな!」

それでも叔父さんはしばらく笑いをとめず、その笑い声を休めたころに言った。

「勇。いや、お前には名前はない。ゆう、よ。心配はいらない、わたしの魔法はやがてとける。その条件だが・・ゆうよ、ログレスへ行け。いま、ログレスはアニマプロージョンという不思議な現象のためにモンスターたちで荒れている。平和を取り戻すのだ」

「ろ・・ぐれす?」

「あぁ、そこで女として過ごすのだ。そして旅の終わりに決めるのだ、自分はどのように生きるのか」

「しかし、剣の力がっ! これでは敵が・・・」

「心配はいらぬ。お前の力なら、わたしが奪った剣の力などなくても、そこらの怪物なら倒せる。ログレスのエリアは広く、次から次へと強いモンスターが現れる。討伐が難しくなった時は――」

「――ときは?」ゆうはごくりとつばを飲んだ。

「マジシャンとなれ。魔法を覚えるのだ。そして自分の人生を選ぶのだ」

ゆうは、胸をドキドキとさせた・・・胸が・・・ある。

「そして、男の心は――、ログレスに到着するとともに消え、女の心となる。ただ、魔法が不完全だ。やがて・・・いつになるかわからないが、男となるだろう。同時に体も――、男となるかもしれぬ」

「うん」

「そのことがお前のお父さんにばれたら大変だ。誤魔化せ!」

「誤魔化す?」

「うーん・・・そうだな・・・・」叔父さんは天井に視線を向けて考え、閃きを得たのか、ゆうを見た。「そうだ!ゆうよ! そのときはクマとなれ!」

「くま?」

「クマとなれ。ログレスでは多くの動物が勇者と活躍している。そこでまぎれればよい」

ゆうは言葉を失った。

「それと・・・一番大事なことが。お前はログレスを去るときに、そこでの記憶をすべて失う。旅の中で多くの勇者たちと出会うだろう。心を残すな! 消えるはずの記憶は澱となり、悲しみとともに生きることになる」

ゆうには、何もかもが信じがたい。

「明日の朝早くにお前をログレスに送る。今日はもう寝ろ」


****

寝れるはずもない夜を超えた、翌朝――。

ゆうはログレスの「はじまりの草原」にいた。

試しにとジェルに剣を振るうと・・・以前のように剣に力は入らないが、この程度を敵を倒すには十分だった。

「これなら、いける」

ゆうは剣を握りしめた。

と、背後から声をした。

「お姉ちゃん――」

(お姉ちゃんーー? わ・・た・・・し・・・・のこと?)

振り返ると、言葉の主は、まだ・・少年? 15歳の思春期でセンシティブ、反抗期を迎えるゆうが言うのもなんだが・・・

「あっちでさ、一緒にさ、マスターバッファロー探そうよ! 今、ギルドコールが発生して、いっぱいポロがもらえるよ」

マスターバッファロー? ギルドコール?

と、先ほどの少年の後ろに、隆々とした腕を持つ女性が立つ。

「いかない? みんなで探せば、なんとかなるよ」


旅の始まりだった。

そこからゆうは多くの人と出会い、心を重ねる。


****


始まりの夜の空を眺めていた。

煌々とした三日月がゆうを照らす。

目の前の焚火の日の様に、感傷はゆらゆらと揺れる。


ゆうの心に叔父さんの言葉が響く。

「心を残すな! 消えるはずの記憶が澱となり、悲しみとともに生きることになる」

男は愛せないし、女は・・・わたし、女の子だもん・・・胸のふくらみを触る。

誰に心を残すのよ・・・・


一つのため息ーー、さぁ、日記日記!

以前より嗜んでいた文は、今も続いている。


だが、それは大きな謝りであることに、ゆうは気づいていない。

消されてしまうログレスでの思い出を文として刻むわけだから・・・




90%ノンフィクションっクマ^^


アップしちゃお^^


今日もいい日で、とても幸せ^^

テルマエを少しやって、寝るっクマ!

見直しはあしたー!

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